どうも、冬花です。
企業での新人教育において、以前より思うところがあったので、今回はそんな話を書きたいと思います。
尚、僕はIT業界、そして派遣契約で潜り込んでいたことが多かったので、本記事でいう「新人」とは新卒プロパー社員というよりも、派遣でやってくる新人さん、を主に指しています。
僕が物申したいこと、結論を端的に言うと、
「もっとちゃんと仕事教えてくれよ」
ということです。
いろんなひどい教育現場があると思います。
それじゃ新人がきちんと育つわけがないし、いつかあなた自身も苦しんじゃうよ、と僕は思っています。
そんなお話。
ウザイ先輩1 習うより慣れろ(まずやってみろ)
やれるわけがないんです。
僕のとある過去の実体験の例。
入社二日目。業務で使用するPCの環境構築も中途半端な状態、且つ、この会社で働く者の心得的な資料を一冊渡され読み終えただけの状態。
そんな僕に、教育担当が突然こう言ってきました。
「お客さんから見積り依頼がきた。キミもメールのCCに入ってる。社内の仕入れ部門に投げておいて」
…は?
社内の仕入れ部門に依頼する。たしかにカンタンなことです。だけど、来たばかりの新人にわかるわけがない。
・仕入れ部門の担当者を捕まえて口頭で言えばいいのか
・顧客からのメールを転送すればいいのか
・顧客からのメールを一度僕が噛み砕いて新規にメールを起こすのか
・そもそも仕入れ部門への依頼内容はメール本文に直接書いていいのか
・それとも社内連携する際の書面等が存在するのか
・書面が存在するのならフォーマットはサーバのどこに保存されてるのか、
そしてどんな様式でどう読み、どう書くのか
・仮にその書面をメールに添付して送るとしたらパスワード付与はどうするのか
・パスワードを付与するとしたらそのパスワードは
・宛先は誰、CCは誰、そもそもバイネームでいいのか(MLなどあるのか)
・メールの件名や本文に定型文はあるのか
・回答期限などのルールは
…等々、パっと思いつくだけでも疑問を挙げればキリがないですよね。
社内他部門への依頼。慣れちゃえば大したことがないことくらいは感覚的にわかります。無茶ぶりされて不安や怒りを覚えるけど、よくよく考えたら「こうすれば良いのかな?」と自分なりの解が出てくることも認めます。
だけど結局、「多分こうだと思うけどでも本当に自分の思うようにやっていいのかな」という新たな不安がもたげ、手が止まります。
目くじらを立てるようなことじゃないとは思います。が、まずやってみろという方針なのであれば、せめてブン投げだけしてどこかへ消えて居なくなるのだけはやめてほしいものです。
遊びじゃないからこそ、会社の看板を背負って働いているからこそ、方々へ迷惑をかけるわけにはいかないから結局手が止まるんです。
ウザイ先輩2 学校じゃねえんだから何から何まで教えてもらおうと思うな
これ言う人けっこう世の中にいると思うんですけど、生意気言いますが、僕はこの考え方って100点満点の半分だと思うんですよね。50点。
だってね、質問やヤル気、積極性・能動性、そんな新人の側からのアプローチだけで、その会社のその仕事の一通りのことを全部網羅することなんてできるわけがないと思うんです。もしできるんだとしたら、どんだけチンケな仕事してんだって話ですよ。
もちろん新人側に努力は必要です。知ろう、学ぼう、覚えよう。そうした姿勢でどんどん積極的に頑張っていく必要があることは言うまでもありません。
だけどその一方、先輩格の側の人たちも、教えよう、伝えようと歩み寄る必要性があると思います。
そうして互いに歩み寄ることで、50:50で100点の新人教育ができるんだと思っています。
来たばかりの新人には、その会社のその仕事がトータル何ピースのジグソーパズルなのか、全容が見えていません。なので「あ、このピースが埋まってないから教えを乞おう」という気づき自体に限界があるんです。
わからないことがあったらオマエから聞いてこい論。この論理だけで接するのは如何なものかと僕は思います。
ウザイ先輩3 1言えば10理解しろ
あからさまに鬱陶しそうな態度で、ボソボソあるいは早口で、その会社でしか通じない略語なんかを交えながら一回こっきりの説明をしてオシマイ。
そんな説明でマスターできるわけがねえじゃん、て話です。
ウザイ先輩4 俺もそうやって教わってきた
これはもう「ふうん」でオシマイ。知らんがな。
きちんと体系立てた教育を施した方が、早く戦力になりますよ、と僕は言いたい。
きちんと教育したら、3ヶ月、半年、1年と経ったとき、全1000ピースのパズルの(たとえば)下半分は埋まってるはずだなとか、左側200ピースは埋まってる状態だなとか、目処が立つじゃないですか。
だからこの部分は安心して任せよう、てこともできるし、埋まってない部分の仕事が舞い込んできたら、教えながらやらなきゃとか、急いでるから今日は自分がやってコイツには近いうち学ばせなきゃとか、オマエあとはこの部分が不勉強だから自分なりに学習しとけよとか、あれこれ効率よくできるわけです。
OJT(ON THE JOB TRAINING)という言葉を曲解して、勝手にやって覚えろって放置して育てる(育てられてないけど)。
こんな風にやると、3ヶ月、半年、1年と経ったとき、いったい新人Aくんは何ができて何ができないのか、何を知ってて何がわかってないのか、それが自他共にわからないという状態ができあがってしまいます。虫食いだらけのパズルのできあがりです。
これ結局、困るのはAくんだけじゃなく、いつか有事の際、フォローにあたる先輩格自身も大変な思いをしますし、場合によっちゃ部内・社内を大きく巻き込む問題にも繋がりかねません。
世の中、甘えたダメ新人が腐るほどいることは知っています。でも冷静になり、そうではない新人もいるということを理解し、接し方をきちんと考えた方がいいと思います。
教育専任でなく自身の仕事をこなしながらその片手間で新人教育するのはとても大変です。その気持ち、僕自身も経験してるのでよくわかります。
でも普通の新人が知りたいのは、
「一般論そしてその概要くらいは学んできています。で、このひとつひとつのフェーズにおいて、この会社においては、どんなルールに則って、どんなシステムや書面を用いて、どのように運用してるんですか?」
ということだったりします。
これって、努力うんぬんでどうにもならないところなわけです。どんなに本を読んで勉強しても、どれだけ自身の職歴からくる知識・経験を活用しても、どれだけ頭を捻っても、”その会社ならでは”の部分だけは、その会社の先輩の教えがなければ、どうやったってわからないんです。
これでも甘えの一言で片付けますか? いや、こういうところはせめてきちんと教えなきゃダメでしょう。
媚び媚びの後輩と飲みに行って、
「○○さんの新人教育、スパルタっスね~」
なんて言われて、
「あぁん?……ああ、へへっ」
って、オレちょっと悪くてカッコイイなんて悦に入ってませんか?
その新人くんの前職場に連れて行かれ全く同じことをされたとしたら、あなたと新人くんの立場は180度変わりますよ。
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